高校卒業2日後

価値観を変化させる

最近、消費者の価値観がコスパ至上主義になっていることに疑問を持つようになった。

この話題をするたびに私は初めて美容院に行ったことを思い出す。

 

「魅力的になりたい、自分もオシャレになりたい」 

 

「いいね! 思いっきり、かっこいい自分になろう!!」

 

私の手に雑誌を乗せ、美容師さんは笑った。

 

なれない手付きでページは進み、自然と口が動いた

「すみません、私に合う髪型にしてください」

 

少し驚いた表情を浮かべながら美容師のお兄さんは笑う

「大人っぽくショートヘアにしてみましょう!」

 

少しずつ会話のテンポも早くなり、ソファーの柔らかさに気づく

高校の思い出や趣味、地元トークでひとしきり盛り上がり

ワックスを使ったセットが終わった。

 

小一時間前の自分は姿を消していた。

 

そこには紛れもなく、魅力的な男性がいる

 

サービスの本質は満足度だと私は思う。

髪型は変わっても、思い出は輝き続けるのだ。

今でも美容院に行く日はテンションが上がる

なんなら仕事のモチベだったりする。

 

価値観はお金では買えない、だから私は最高のお客様になりたい。

 

一夜限りの私を洗い流した夏の日のこと